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評者◆ベイベー関根
フランス発! バンド・デシネの現在はここにある!『ユーロマンガ』一号(本体一五〇〇円、発行=Euromanga合同会社、発売=飛鳥新社)
『ユーロマンガ』一号
No.2892 ・ 2008年11月01日




 こんにちわ、こないだ桜井昌一『ぼくは劇画の仕掛人だった』を1000円でゲットして超ホクホクのベイベー関根です。
 さて今回は、前回の黒田硫黄『大金星』より刊行されたのは先だけど、海外コミックスの翻訳ものはなるべくヒイキするという方針の本欄ゆえ(そうだったの?)、フランスのバンド・デシネ(略称BD)の一番新しくて一番いいところをみっちり詰め込んだ『euromanga』vol.1をとりあげるぞ!
 というか、これはやっぱりとりあげんわけにはいかんだろう。なんせ載っているのが、マリーニ&デュフォー! ガルニド&カナレス! ニコラ・ド・クレシー! カネパ&バルブッチ!(と並べてもよくわからないだろうけど、スゴいメンツなわけですよ)A4判、オールカラー、120ページで1500円なんて、タダみたいなもんだよ! これを買わずして何を買うというのだ! いやホントに!
 巻頭のカネパ&バルブッチ「スカイ・ドール」は、日本のMANGAの影響も瑞々しいセクサロイドSF。キュートでエッチな裏ディズニーアニメのフィルムブックみたいだと思っていたら、マーヴル・コミックスが英語版を出したところ、アメリカで大当たりとのこと、それも頷ける素晴らしい出来栄えだ!
 2番手のマリーニ&デュフォー「ラパス」は、吸血鬼狩りに執念を燃やす謎の男女と、連続殺人の真相を追う刑事たちの物語。伝奇ミステリって味わいかな。『HELLSING』とか『羊のうた』、あるいは菊地秀行とかが好きな人なら見逃せまいて!
 ガルニド&カナレスの「ブラック・サッド」は、3年前にも早川書房から翻訳が出ている擬獣化(〓)ハードボイルド。登場するのは、服を着たネコ、イヌ、サル、フクロウなどなどだが、そこに渦巻く欲望は人間そのもの。原子力開発をめぐって、ある男が誤って殺される。事件の裏にいるのは誰か? しかし、これがまたいいところで次号に続いちゃうんだな……。
 トリをつとめるのは、日本でも何度か紹介されている巨匠ニコラ・ド・クレシー。シーンごとに画材からタッチまで変えてしまうというまさに変幻自在の天才で、今回収録された「天空のビバンドム」は、彼の代表作。「人間に憧れるアザラシ、ディエゴの冒険を描く奇想天外なゴシック譚」とのことだが、とにかく絵を見ているだけでおなかいっぱい……いや、頭がいっぱいになること請け合いだ。
 色も綺麗だし、翻訳も素晴らしい、BDへの導入をはかる日本側の記事もよくできていて、しつこいようだが、これで1500円とはマジでビックリっす(比較しちゃ悪いけど、早川の『ブラック・サッド』なんか、48ページで1700円だぜ! いや、確かにいい仕事だけどさ!)。というか、早くも次の号が読みたくてうずうずしているのに、巻末の告知によれば、次号刊行は2009年3月だというじゃないか。なんてこった、生殺しか!







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