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評者◆井口時男
西川長夫著『日本回帰・再論』を読む ナショナルな表象をいかに超えるか――求められる新たな解法
日本回帰・再論――近代への問い、あるいはナショナルな表象をめぐる闘争
西川長夫
No.2892 ・ 2008年11月01日




 著者が四十年余り考えつづけ書きつづけてきた「欧化と回帰」に関する論考のうち、これまで単行本未収録だった論考をまとめて編集したものだという。
 「日本回帰」という問題の近代思想史上の重要性は当然のこととして、しかし、今日になおアクチュアルな問題設定であるかというと相当な疑問がある。著者自身がいうとおり、本書のキーワードである「欧化」も「回帰」も、さらにそれを政治思想と連結させた「転向」も、後発近代国家(国民国家)の特殊性に深く拘束された特有の歴史的現象であって、社会主義モデルが崩壊し資本のグローバル化が展開して地理的・文化的落差が消滅したかにみえる現代にあっては、すでに「死語」になりつつあるからだ。そのことは著者も承知で、二〇〇一年九月十一日以後の時代の激変を考えるにあたって、その前提としてこの問題に関する認識を共有したいというのが、本書の位置づけのようだ。
 全八篇の論考のうち、最新の「欧化と日本回帰・再論」(〇七年)も含めて三篇が、外国の研究者を聴衆や読者として想定した概論的な内容である。著者の整理は明晰でクリアーだが、概論はあくまで概論、つまり現象の大づかみな整理たらざるをえないのは仕方あるまい。
 したがって、私が興味深く読んだのは、概論以外の、個別の作家や思想家を論...







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