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評者◆O
カメラがとらえた総力戦の墓標群――戦争を遂行する国家と人間の姿を反照する要塞の数々
要塞列島――日本への遺言
安島太佳由 写真集
No.2888 ・ 2008年10月04日




 日本列島各地には、「要塞」の残骸がいまも横たわっている。北海道から沖縄まで、その姿を一〇年以上にわたって撮り続けてきた人間がいた。本書の著者、安島太佳由その人である。
 安島氏がカメラで追い続けてきた要塞とは何なのか。本書には一八九八(明治三一)年、要塞地帯法が明治国家によって制定されたとある。この時期、すなわち日清戦争と日露戦争にはさまれた帝国主義的国家形成の始まる時期にあって、対外膨張と並んで日本の要塞化が進められたのである。具体的には、東京湾、対馬、下関、由良、津軽、舞鶴、壱岐、父島などに砲台や弾薬庫、兵舎などが建設され、軍事拠点が設けられた。首都防衛を中心とすれば、これらは日本帝国のアジア侵略と植民地化のベクトルに沿って放射線状に構築されたものだった。要塞という防衛拠点は、反転して侵略の方向性を物語っていたのである。
 本書に収められた要塞は、より広義の意味で捉えられた施設群である。それは明治の要塞地帯法以降、一九四五年の敗戦に至るまで営々と構築されてきた軍事施設群であり、軍需工場や特攻基地なども含まれている。「国民の身体が武器となり、人間をもって要塞とする」特攻作戦を極点とする、国土から国民一人ひとりの身体、精神まですべてをトータルに要塞化するという意味で、総力戦...







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