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評者◆ベイベー関根
「ええ!? あの人がこんなところで!」驚愕の3連発、一挙放出!!――江戸川乱歩/東元『江戸川乱歩怪奇短編集 赤い部屋』(本体六六七円、集英社)、大森しんや『恋ケ窪★ワークス 愛蔵版』(本体八三八円、モーターマガジン社)、浪花ともあれ『ニッポン縦断仰天フーゾク』(本体一三〇〇円、宙出版)
No.2886 ・ 2008年09月20日




 出た! 出ましたよ、黒田硫黄、待望の新刊『あたらしい朝』1巻が! 当然素晴らしいのはいうまでもないが、本連載ではそれをあえてスルー。なぜならその前にふれておきたい作品群があるからで、題して……字数がもったいないのでタイトル参照のこと。
 さて1発目は、なんと単行本を出すのは22年ぶりになろうという東元先生だ!というか、86年に青林堂から『あなたに モガの時代』が出たっきりだよな、たしか。1920年代を描いたホンワカした絵とストーリーが、まさに唯一無二の世界を築いていたんだけど、なぜかその他の作品は本にならぬまま、東先生、デザイン業を営みつつ、あちこちでマンガを描いていたらしい。しかしここに来て、乱歩ものといううってつけの題材を扱った新刊が登場した! それが本書『江戸川乱歩怪奇短編集 赤い部屋』で、赤い部屋に集まる怪しい人々の体験談という体裁をとりつつ、「双生児」「人間椅子」「鏡地獄」など、乱歩ベストヒッツが楽しめるという趣向。これを見逃す手はないぞえ! それと、前述のとおり、本になってない東作品はまだたくさんあるので、編集者諸氏はすぐ交渉しに行くように!
 2発目は、大森しんや『恋ケ窪★ワークス 愛蔵版』だ! 「え、大森しんや……誰だっけ?」と、作者の名前が頭の片隅に引っかかったのと、モーターマガジン社っていうあんまりマンガと関係なさそうなところから出てたので買ってみたんだが、これが大変けっこう! 主人公は、友達を事故で失った元レディースのあやめ。ひょんなことから(何ソレ?)「バイクの妖精」と名乗る怪しいオヤジが経営するバイク屋「恋ケ窪ワークス」で働くようになるが、精いっぱい毎日を過ごすうちにおかしなことに気がつく……てな感じの可愛くてまっすぐなマンガなんだが、それはともかく作者の大森しんやだ。どっかで聞いた名前と思ったら、昔『COMICアレ!』でやっぱり少年バイクマンガ『鉄の字』を連載してたヤツじゃないか! 何年前だよ、それ!! その頃の望月峯太郎と松本大洋を足して2で割ったようなわかりやすい絵柄から(『アレ!』のシンボルマークのイヌもこの人だったんだなー、と買い直して再認識)、そこから今はやや萌え風な絵柄にシフトチェンジしたものの、いわゆる心があったかくなる作風は健在なので、これも見かけたらすぐかっさらってもらいたい(金を払って)!
 さて最後はサラリと、浪花ともあれ『ニッポン縦断仰天フーゾク』。早い話が裏フーゾク体験ルポマンガですが、シュリンクされて中は読めないながら、なぜか「コレはクサイ……」という匂いを嗅ぎつけて買ってみれば、なんと作者は桜壱バーゲンさんじゃないですか! 北見けんいちのアシだった(どおくまんじゃなくて〓)ってのが信じられないほどのコテコテ風味、好きな人にはたまりません……というわけで、駆け足ながらこれにて失礼! 黒田硫黄は次回でやります!







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