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評者◆矢口進也
中国、朝鮮、ベトナムだけでなく、構想はさらにアジアの独立運動まで広がっていたのでは
河 全3巻
小田実
No.2886 ・ 2008年09月20日




 作家・小田実が最後に取り組んでいた長編小説『河』は未完のまま残されたが、小田実はこの作で何を描こうとしたのだろうか。
 物語の発端は関東大震災である。父母と息子の3人が火の柱に追われる。「みんなで逃げる」「逃げないと、みんな焼け死ぬ」と父は言い、父の指示にしたがって追われるように歩きつづける。ようやく火勢から逃れ出た3人は野宿し、翌日の夜、「自警団」という提灯の下に集まる人たちに取り囲まれる。罵声の中で「私は朝鮮人だが、日本人だ。そのどこがわるい。何がわるい」と父の声が聞こえたが、次第に遠くなっていく。この日から父の姿は見えなくなる。残された母と子は、母親の実家のある神戸へと避難する。
 神戸では母から「おまえのおばあさま」と紹介された祖母の家に身を寄せる。父は「後から来る」ことになっていた。10歳になった重夫は小学四年生になるが、「鮮人クチャイ」といじめを受けたりする。母は伯父の会社に勤めはじめる。
 重夫は李という中国人少年と仲良くなる。彼の家で「孫文先生」の写真を見せられる。李は重夫に三民主義についても教える。重夫は学校以外にアイルランド人キャシーに英語を習っている。「アイルランドはお隣りのイギリスに国を奪われて、…植民地になって、国はなくなった」とキャシーは重夫に話...







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