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評者◆米田綱路
二〇世紀の時代経験を刻んだ精神史的省察――「昨日の世界」の出版文化史、そして人びとの交流史
わたしのスターリン体験
高杉一郎
若き高杉一郎――改造社の時代
太田哲男
No.2884 ・ 2008年09月06日




 今年一月、九九歳で世を去った高杉一郎こと小川五郎氏は、自分は「改造社に育てられた」と回想した。いわば、改造社での編集および知的な経験が、シベリア抑留をくぐって書かれた『極光のかげに』のバックボーンをなしていた。彼の戦後経験は、この本を一つの契機として始まり、エスペラント詩人のエロシェンコやアグネス・スメドレー、クロポトキンなどの翻訳へと広がってゆく。だが、その萌芽はすでに、戦前の改造社での編集経験にあった。
 太田哲男氏は『若き高杉一郎――改造社の時代』で、そうした戦後の数々の翻訳には、「若き高杉一郎」の改造社以来の「精神の水脈」が生き続けていた、と述べる。その水脈を育んだのが、小川氏の改造社時代の経験だったのである。
 小川氏が改造社に入り、編集者となったのは一九三三(昭和八)年。そして彼の改造社時代は、東条内閣の命令による一九四四年の会社解散と召集で幕を閉じた。その間、三〇年代の「暗い谷間」の時代にあって、反ファシズムの文化運動や両次大戦間期の文学作品の紹介に努めた彼は、改造社の月刊誌『文藝』を舞台にみずからも翻訳を手がけ、数多くの作家たちと交流した。その経緯は、先ごろ再刊された『わたしのスターリン体験』につづられている。
 本書と太田氏の本を併せ読めば、小川氏をめぐる人...







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