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評者◆合田正人
ディアスポラ、この「不揃いの縁」
ディアスポラの力――ユダヤ文化の今日性をめぐる試論
ジョナサン&ダニエル・ボヤーリン著 赤尾光春・早尾貴紀訳
No.2884 ・ 2008年09月06日




 「ディアスポラ」は、散逸・横断性を意味する「ディア」という接頭辞と、種撒きを意味する「スポレイン」から成る語で、単なる「離散」というよりは「撒種」(ディセミナシオン)に近い意味を有しているのだが、多くの場合、『申命記』四・二七に言うように、何よりもユダヤ人の生存様態を指すための語として用いられてきた。「ディアスポラ」そのもののなかで多様なシオニズム思想が生まれ、遂に「ユダヤ人国家」が成立してから六〇年、この間、戦争や内紛や飢饉や迫害など様々な理由で「人間の大きな移動」(E・サイード)が生じ、「流浪の民によって流浪の状態に追いやられる」(同右)者たちが今も生まれつつある。そんななかで「ディアスポラ」とはいかなる様態なのか。それを思考し生きることはどのような道標を与えてくれるのか。本書は、誰もが免れることのできないこの問いとの真摯で困難な格闘のドキュメントである。訳者のひとり早尾貴紀さんの労作『ユダヤとイスラエルのあいだ』(青土社)と併せ読むとよいだろう。
 「『ユダヤ人国家』という苦悶に満ちた矛盾とともに五〇年が過ぎたいま、諸々のディアスポラの中でイスラエルの『場所』はどこにあるのか、という新たな問いを立てる時がやってきた」(一四頁)と著者たちは言っているが、まず、この問いが...







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