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評者◆O
戦後日本が直面する課題を学問的に担った歴史学──政府の対米従属と右傾化、保守化に抗して「民族」「国民」「大衆」「民衆」の歴史を追究した歩み
イコンの崩壊まで──「戦後歴史学」と運動史研究
須田努
No.2879 ・ 2008年07月26日




 「戦後歴史学」の史学史は、戦後の歴史的背景ぬきには考えられない。とりわけ、歴史学の社会的責任を強く意識し、現実の社会的変革や運動史と密接な関係をもちながら、学問の課題を担い続けたゆえに、なおさらそうだった。それは、歴史学とは何かという問いとも、切り離せないものだった。
 「戦後歴史学」を問うことは、ひいては戦後史を跡づける作業ともなる。『イコンの崩壊まで――「戦後歴史学」と運動史研究』は、こうした歴史学の成り立ちから、その展開と岐路、そしてタイトルのごとく「イコンの崩壊」までをたどった一書である。
 「戦後歴史学」は、その草創期において戦後の「逆コース」、そして冷戦との対峙を迫られた。いや、むしろこの誕生をめぐる時代状況は、「戦後歴史学」を「戦後歴史学」にした、といえる。つまり学問は、日本が直面する課題を学問的に担いながら、その歩みを始めたのである。
 反共政策の強まりとレッドパージ、さらに朝鮮戦争勃発という一九五〇年前後の時代状況は、他方でコミンフォルムによる日本共産党批判で決定的な転機を迎えた。GHQを「解放軍」と規定してきた共産党の平和革命路線が、ソ連によって根底的に批判され、主流派の「所感派」は武装闘争路線に突入した。アメリカは民主化をもたらした「解放軍」から、帝国主...







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