書評/新聞記事 検索  図書新聞は、毎週土曜日書店発売、定期購読も承ります

【重要なお知らせ】お問い合わせフォーム故障中につき、直接メール(koudoku@toshoshimbun.com)かお電話にてバックナンバー・定期購読の御注文をお願い致します。

評者◆五所純子
かつてなく清々しいアルバム──あぶらだこ新作『あぶらだこ(舟盤)』
あぶらだこ(舟盤)
あぶらだこ
No.2877 ・ 2008年07月12日




 あぶらだこのアルバム・タイトルはすべて『あぶらだこ』である。だから前作から4年ぶりとなる今作ももちろん『あぶらだこ』。ジャケット・デザインのイメージにしたがい、1stから『木盤』『青盤』『亀盤』『釣り盤』『月盤』『穴盤』と称されてきたが、すでに今作は『舟盤』と呼ばれはじめている。結成から25年。同時発売された初期音源集(もちろんこれも『あぶらだこ』)には80年代初頭に勃興した東京のハードコア・パンク・シーンのひどく率直な息吹を存分に感じるものの、一方で、その後しだいにそこから逸脱していくあぶらだこの片鱗のようなものを耳が聴き取ろうとする。影響関係を述べていくとしたら無数のロック的良心の名を並べなくてはならないような気がするが、むしろそんなことは無為にすぎないと感じてしまうほどに、あぶらだこは類型不可能な存在である。
 特徴的なのは変拍子が駆使された複雑な構成だ。曲の練習はおそろしく大変そうだが、とはいえ、それは理論的な構築物といった風情はない。以前のインタビューでドラムの伊藤健一が語っていたが、長谷川裕倫がギターだけを録音したテープをもとにメンバーでスタジオに集まり、そこで自然に出てきて積み重なるものが曲の完成になるらしい。鳴らされたそばから瓦解していく気配をたたえた砂塵の...







【今すぐどなたでも読める書評・記事はこちら】
  • 新聞連載(※一部連載を除く)
  • サイト限定連載
  • 読者書評
  • 【現在、図書新聞を定期購読されている方】
    こちらのフォームから「ご契約者のお名前」「郵便番号、ご住所」「メールアドレス」「ID・パスワード新規取得」の旨をご連絡ください。
    【定期購読されていない方】
    定期購読契約が必要です。
    こちらから定期購読のお申し込みをしてください。






    
    リンクサイト
    サイト限定連載
    
    図書新聞出版
      最新刊
    『新宿センチメンタル・ジャーニー』
    『山・自然探究――紀行・エッセイ・評論集』
    『【新版】クリストとジャンヌ=クロード ライフ=ワークス=プロジェクト』
    書店別 週間ベストセラーズ
    ■東京■東京堂書店様調べ
    1位 マチズモを削り取れ
    (武田砂鉄)
    2位 喫茶店で松本隆さんから聞いたこと
    (山下賢二)
    3位 古くて素敵なクラシック・レコードたち
    (村上春樹)
    ■新潟■萬松堂様調べ
    1位 老いる意味
    (森村誠一)
    2位 老いの福袋
    (樋口恵子)
    3位 もうだまされない
    新型コロナの大誤解
    (西村秀一)

    取扱い書店企業概要プライバシーポリシー利用規約