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評者◆米田綱路
体制の壁を越えて収容所から収容所、強制労働から強制労働へ──「対独協力者」「祖国の裏切り者」たちの知られざる足跡
二つの独裁の犠牲者──ヒトラーとスターリンの思うままに迫害された…数百万人の過酷な運命
パーヴェル・ポリャーン 著 長勢了治 訳/白井久也 解説
No.2877 ・ 2008年07月12日




 一九四一年六月二二日、ナチス・ドイツはソ連への「電撃戦」を開始した。その目的は「生存圏(レーベンスラウム)」の獲得・拡張であり、農産物など食糧資源、石油などの供給源を確保することだった。つまり東部地域、ソ連内ウクライナの穀倉地帯やカフカースの油田地帯を確保し、収奪するのが狙いだったのである。この地域に住む人びと、ナチズムの人種理論においては「下等の人種・人間(ウンターメンシュ)」と位置づけられた、ロシア人をはじめとするスラヴ系諸民族は、またたく間に生存の圏外へと追いやられた。
 早期終結を見越した「電撃戦」のもくろみは、開戦後二、三ヵ月で見直しを余儀なくされたが、実際にドイツ軍の進撃は早く、不意を突かれて総崩れとなった赤軍は、随所で包囲され、捕虜となった。その数は、緒戦で早くも数百万人にまで膨れあがった。ナチ指導部は、この捕虜をどのように扱うかという、当初の占領計画にはなかった現実問題に直面した。
 第三帝国本国には、ソ連人捕虜や占領地域の労働者、すなわち「東方労働者(オスト・アルバイター)」を餓死させることは想定しても、強制労働に従事させるもくろみなどなかった。ナチズムの人種イデオロギーからすれば、国内に「下等な人間」を入れるなど害毒に他ならないと、問題にならなかったので...







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