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評者◆仲俣暁生
小田光雄著“出版状況論三部作”を読む「出版はどこへ向かうのか──新しい「知のインフラストラクチャー」の設計や構築に、社会を挙げて着手すべき時期」
ブックオフと出版業界――ブックオフ・ビジネスの実像
小田光雄
出版社と書店はいかにして消えていくか――近代出版流通システムの終焉
小田光雄
出版業界の危機と社会構造
小田光雄
No.2874 ・ 2008年06月21日




 書店の店頭風景に、それとない違和感を感じ始めたのはいつ頃からだろう。目にみえてどこがおかしいと、はっきりとは指摘できないのだが、身体感覚としてどこか「違う」。並んでいるのは紛れもなく本や雑誌であり、見慣れた著者や作品にも出会えるのだが、全体として違和感がぬぐえない。そんな風に感じることが増えた。
 SFの古典的名作であるジャック・フィニィの『盗まれた街』では、カリフォルニア州にあるサンタ・マイラという町で、住人たちの身体が宇宙からやってきた未知の生命体に乗っ取られてしまう。まだ身体を乗っ取られていない住人は、見かけは以前とかわらない自分の家族や知人に、どことは指摘できない違和感を感じるのだが、私がいまの書店風景に対して感じる違和感は、これに似ているかもしれない。
 この小説におけるサンタ・マイラの町と同様、出版の世界でも、その住人がいつの間にかすっかり入れ替わってしまったように思える。この変化はなにより、日本全国の津々浦々にあった、町の書店の消滅に象徴されている。町の書店は、小田光雄が「近代出版流通システム」という言葉で言い表してきた、出版社‐取次‐書店の三者によって担われてきた「知のインフラストラクチャー」の根幹をなす存在だった。
 大都市近郊から地方にまで波及した郊外化現...







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