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評者◆秋竜山
笑いの基本とは……、の巻
No.2873 ・ 2008年06月14日




 茶の間の力はすごい!! いや、テレビの力はすごいというべきだろう。もっとも、茶の間があって、テレビがあるわけだ。もし、茶の間というものが存在しなかったら、テレビも本当の力を発揮できなかったろう。だから、テレビはもっと茶の間を大切に思うべきだろう。茶の間に誰がいる。茶の間の主役は誰だ。誰がチャンネル権を持っているのか。カアちゃんか。テレビを牛耳るカアちゃん達によって、テレビ文化は育つ。今、テレビで、いつの間にか顔が知れて有名になってしまったのが、〈三谷幸喜〉ではなかろうか。今や、茶の間でも知っている三谷幸喜ということになる。ナゼか。テレビに本人が顔を出すようになったからだ。ためしに、茶の間で、「三谷幸喜って知ってるか?」と言ったら「知ってる」と答えがかえってきた。「BRUTUS」(マガジンハウス、2008・6・15号、定価580円)では、三谷幸喜特集号となっている。これを茶の間のカアちゃんが買って読むかどーかは知らないが、茶の間にはカアちゃん以外にもいることだし、トオちゃんが買うなどするわけがない。やっぱり本は若い者ということになる。それが大問題なんだよ!! ということになる。BRUTUSも若者向けのようだ。本書で興味を持ったのは、笑い芸術の神様、立川談志と三谷幸喜との対談であった。
 〈三谷 インタビューなんかで「笑いとは何だと思いますか」と聞かれることがたまにあるんですが、僕の考えたひとつの答えがありまして、正しいかどうかをちょっと伺いたいんです。僕が思ったのは、結局笑いというのは、人間を笑うことなのではないかと。人は人を笑う。動物が何か変なことをしておかしいと思うのは、やっぱりそれは人間に重なる動きをした時であって、植物とかを見ていても笑えないのは、擬人化できないからだと。と思うと、すべての笑いの基本は、それが人間であるからだという感じがしたんですけれども、この考え方は……。
立川 高橋義孝先生は「超自我の破壊」と言っていた。つまり立派な先生だと思っていたら、一発ふっと屁をこいて「えへへへ」なんて言われて、そこで超自我――人間が持っている規範と通念――が崩壊すると笑いになると。これ、緊張の緩和と言ってもいいのかな。桂枝雀も同じことを言っていた。なにもそんな入り組んだ状況じゃなくても、子供のお腹をぷーっと吹くと笑うでしょう。それからすると、人間は赤ん坊も含めて常にどこかで緊張しているんだと。(略)〉(本書より)
 三谷幸喜が交友関係の中で質問する。それに相手が答えるというコーナーがあって、三谷幸喜がテレビに出ているのをみて、笑い出すのは、きっとこのことかと!?、まとをいたような答えをしているのが石田ゆり子さんであった。〈どうしていつも溜め息をつくのですか?〉〈三谷さん、あれは溜め息ではございません。三谷さんと話していると、なぜか妙な間が生まれ、その間に耐えられなくなるので呼吸をしているのでございます。三谷さんは、変なお世辞を言わない代わりに、間を埋めようという努力もなさいません。私はいつも必死で「はァ……」と溜め息のような呼吸をし、会話を次につなげているのであります。〉アハハハ……。







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