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評者◆廣瀬純
〈悪〉をもって〈悪〉を抑制せよ!──ラディカルな性悪説に立ったマルチチュード論
ポストフォーディズムの資本主義――社会科学と「ヒューマン・ネイチャー」
パオロ・ヴィルノ著 柱本元彦訳
No.2873 ・ 2008年06月14日




 「国家に敵対するラディカリズムは、人間の本性が根本的に善良であるという信頼の深さに比例して増大する」というカール・シュミットの皮肉に対して、パオロ・ヴィルノは、それが現実の言説状況の趨勢を的確に捉えたものであることを認めた上で、これを反転させ、「国家に敵対するラディカリズム」はその「真の基盤」を「人間は『本来悪である』という認識」に見出さなければならないと主張する。
 本書の面白さ、そしてその強度は、何よりもまず、それがラディカルな性悪説に立ったマルチチュード論であるという点に存する。
 本書の副題にある「ヒューマン・ネイチャー」すなわち「人間的自然=人間本性」とは、「本来悪である」という人間の「メタ歴史的な不変項」のことである。しかし本書は「メタ歴史的な」レヴェルにとどまって純然たる人性論あるいは認知科学を展開しようとする試みではない。むしろ「ヒューマン・ネイチャー」を「社会科学」に接続する試み、あるいは、そのような「社会科学の自然化」の今日的な必要性を浮かび上がらせる試みである。
 人間の「不変項」が問題とされるのは、あくまでも、それが「凋落の道をたどる近代の中央集権的国家の変容の不安と、これを再興しようとする痙攣的な反動とに彩られた〈まさにこの時〉、大きく表面化してい...







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