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評者◆長谷川一
いかに「読むこと」がつくりあげられてきたのか
本を読むデモクラシー――“読者大衆”の出現
宮下志朗
No.2870 ・ 2008年05月24日




「読むこと」の歴史へ

 四六判、並製、一六〇頁。なりは小体で、掌に心地よく収まる。ところがこの書物、その外見に似あわず、なかなか奥行きがある。洒落者といってもいい。
 本書はまず、「読むこと」の歴史について知りたいと考える読者にとって、平易でありながら、それでいてよく練られた良質なガイドブックの役割をはたすだろう。著者自身が、ひとびとがどのように「読むこと」を営んできたのかという問いに挑み、『本の都市リヨン』(晶文社、一九八九年)や『読書の首都パリ』(みすず書房、一九九八年)など非凡な仕事を積みあげてきたのだから、これ以上の適任者はいない。
 「読むこと」は今日いたってありふれた行為とうけとめられている。現にわたしたちは日々膨大な文字を読む。本、新聞、広告、メール、ブログ、SNS、テレビだっていまやテロップ全盛だ。現代は人類史上もっとも文字情報にあふれた社会なのだ。文字だけではない。映像や音楽や街並みもまた、テクストと見なしうる。生活することそれ自体が読むことだといって過言ではないほどである。
 ところが、それほどまでにありふれた「読むこと」がいかにつくりあげられてきたのかとなると、それを歴史的に探りだす作業には大きな困難がともなう。「読むこと」それ自体は、直接にはほと...







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