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評者◆秋竜山
詳しくは本書で!、の巻
No.2868 ・ 2008年05月03日




 〈本書は、2006年6月に小社より刊行された『トンデモない生き物たち』を改訂・改題したものです。〉と、ある。なぜ、改訂・改題したのかわからない。その理由はわからないが、改訂・改題したほうがよいと思われたからだろう。次のような本となって本屋さんに並べられた。白石拓『なぜ南極の魚は凍らないのか!?』(宝島社文庫、本体四五七円)だ。タイトル一つで、まったく別の本になってしまうものだ。トンデモない本になるということか。やっぱり、本って、中身より本の題名によって決定づけられるような気分がしてくる。「なぜ本」に変身。人間は、というより本好きは「なぜ」に弱い。「なぜ」だけで本を手にするようなものかもしれない。毎日が「なぜ」「なぜ」であり、その「なぜ」が多くあった日は充実した一日ということになる。なんにもなかった日は、つまらない一日だったことになるのだろう。〈なぜ南極の魚は凍らないのか!?〉まさか、今はやりの地球温暖化のせいかしら。南極から氷がなくなってしまうという。魚どころではない深刻な大問題だとか。本書の「なぜ」は地球温暖化のせいではないらしい。例の如く、パラパラをやる。ページのどの項目も「なぜ」になっている。どの項目をそのまま本の題名にしても面白いだろう。〈アリがもっている身分証明書は?〉というのがある。
 〈アリの仲間は世界でおよそ1万2000種ほど。日本にはそのうち約260種がすんでいる。全世界のアリの人口は推定で、1兆匹のさらに1万倍くらいだろうといわれている。地球はアリの惑星といっても過言ではない。〉(本書より)
 で、ビックリ仰天。そんな数のアリを見分けるにはどうしたらよいのか。まず、人間の力では不可能だろう。どのアリも同じに見えてしまう。又、見えてしまわなければ、どーかしていることにもなる。ところがアリたちは、見分けてしまうのだから、たまげてしまう。「ヨオ!! 太郎くん」「ヨオ!! 次郎くん」なんて、あいさつをかわしたりしているのかもしれない。
 〈アリが仲間を見分けることを「巣仲間認識」という。その巣仲間認識は、おもに2つの方法で行われていると考えられている。〉(本書より)
 どのような方法で。それは本書を読んでいただきたい。〈なぜ南極の魚は凍らないのか!?〉が、この本の主題である。このタイトルにつられて買ってしまった本だ。
 〈水にすむ魚は凍らない……と思ったら大まちがいで、魚もやっぱり凍る。体内に水分があれば、自然の原理で0℃くらいの温度になると氷ができてしまう。そして、水が凍って氷になると体積が増えるので、細胞が破裂して死んでしまうのだ。〉(本書より)
 なぜ、凍らないのか、もっと詳しくは本書を読んでください。そういえば、以前に、海面に死んだ魚を一匹も見ることができないのは、なぜ!?というような本が出たことがあった。夢中で読んだものだが、わすれてしまった。







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