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評者◆高桑和巳 評
照らし出される例外による統治
例外状態
ジョルジョ・アガンベン著 上村忠男・中村勝己訳
未來社
No.2849 ・ 2007年12月08日




 この本のダイジェストと見なせるテクストがある。作者ジョルジョ・アガンベンが二〇〇二年末におこなった講演からの抜粋であり、タイトルは同じ「例外状態」である。私がその小論を翻訳したのは三年前のことになるが(『現代思想』二〇〇四年八月号)、当時この哲学者が念頭に置いていると思われたのは当然、中東で展開するもろもろの作戦を正当化するためにアメリカ合衆国政府が推進していた当のこと、要するに「何でもあり」の統治というアクチュアリティのことだった。私は短い解題を書き、アメリカ政府の動きと軌を一にする日本国政府の動き――有事関連法の成立が最もわかりやすい出来事だった――と接続させる形で議論を紹介した。タイトルにもある「例外状態」とは、要するに私たちが「有事」と呼ばされている周知のもののことですよ。皮肉なことに日本もすでに国際化してしまったので、幸か不幸かアガンベンと議論が共有できてしまいますよ。だから参考にしてください……。
 それから三年が経ったが、ご存じのとおり状況は日本国の内外を問わずまったく変わっていない。それどころか、その状況を定着させるべくあらゆる事柄がさらに進行している。私は当時、「最悪なことに、私たちはこの状況を知ることにすでに飽きはじめている」と書いたが、私たちは飽きたどころか...







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