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評者◆向山恭一 評
いつでも「使い捨てられる」運命にあるわれわれの生
廃棄された生──モダニティとその追放者
ジグムント・バウマン著 中島道男訳
昭和堂
アイデンティティ
ジグムント・バウマン著 伊藤茂訳
日本経済評論社
No.2848 ・ 2007年12月01日




 今日、社会的弱者とりわけ若者の生存=雇用状況をめぐって「難民」というメタファーがよく使われている。これについては異論もあり、たとえば、リアルな難民を引き合いに出すことで、彼/彼女らの苦境を相対化し、それを「自己責任」にすりかえようとする論調はそのひとつである。しかし、ここで問われているのは、そうした彼我の困窮の度合いなのではなく、彼/彼女らをめぐる処遇の同型性ではないだろうか。リアル=メタフォリカルな難民はその行き場のなさから放浪し、それゆえ治安の対象とみなされ、なかば強制的にゲットーに住まわされる。そこが難民キャンプなのかネットカフェ(業界関係者には失礼ながら)なのかは問題ではない。ここでアメニティの格差をことさら強調するのは傲慢というものだろう。「住所不定」もまた一種の「サン・パピエ」である。「難民化する若者たち」(雨宮処凛)といった言説がリアリティをもつのは、そうした所在のなさからであり、そのことが暗示する見通しのなさからである。
 こうした状況をもとに、最近の現代思想では「社会的排除論」がクローズアップされている。ジョルジョ・アガンベンの「ホモ・サケル」という概念が時代を読み解くキーワードとして広く流通しているのも、だれもが難民化しうる不安を抱えて生きていることを懸...







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