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評者◆塚原史氏インタビュー
暴力の理性的解明へ
暴力論
ジョルジュ・ソレル著 今村仁司・塚原史訳
岩波書店
No.2843 ・ 2007年10月27日




ソレル『暴力論』新訳の意図

 ――今回、塚原さんと故今村仁司さん(一九四二―二〇〇七)とでジョルジュ・ソレル『暴力論』の新訳をなさったわけですが、その経緯や旧訳との違いをまずお話し願えますか?

塚原 『暴力論』原典の初版は一九〇八年出版ですが、日本では、一九三三年(昭和八年)六月に木下半治氏の翻訳で岩波文庫から出た版が、全訳としては初めてフランス語原文から日本語に訳出されたものです。もう七〇年以上も前の翻訳ですが、一九三三年は二月に小林多喜二が特高に虐殺され、四月には京大滝川事件が起こった年で、治安維持法下で刊行されたこの本には、当然ながら検閲を意識して伏字が非常に多く、その意味では読むに堪えない訳でした。検閲というより自主規制で、訳者の木下氏も「不愉快な伏字が多く、かつ原文挿入、ルビなどがやたらにあったが、これは当時の検閲に対する配慮から出たものである」と回想されています。この「配慮」は「ある先輩」の注意によるとされていますが、その人物は講座派のマルクス主義法学者、平野義太郎のことです。つまり、世に出る以前にここはまずいと編集部や学者たちが判断して××などを入れていたわけで、まさに国家の「暴力」に屈していたことになります。その後一九六〇年代に改訂版がもちろん伏字なしで出ま...







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