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ノンフィクション
もはや無縁ではない
書籍・作品名 : 水俣病を知っていますか
著者・制作者名 : 高峰武  
いなり寿司   59才   男性   





読み終えて、本の内容が頭の中でごちゃ混ぜになっている。時間的に輻輳する構成のためだろうか。経過は経過、思考は思考、人(想い)は人である。出来事を追うだけではなく、いろいろなものが詰まっている。国策としての事業が地域を分断し、巨大な施設を作って、害悪があれば補償で解決。被害者はどこにいるのか。水俣にいる。誰が彼らに寄り添うのか。ジャーナリストが書いた本だけに、様々な人の様々な想いが描かれ、関係した人々を覆い込んでしまう宿命のようなものを感じる。少数者が多数者に被害を訴えるしかない状況で、差別や偏見が生まれ、経緯も複雑なものになっていく。事業体や行政、政治の思惑で弄ばれる被害者の姿は悲痛だが、一人一人が大事にされなかったことはとても残念である。また彼らは不遇の中で懸命に生きていた。その証がこの著作だと思う。まだまだ水俣病問題は解決していない。国・県・チッソの責任追及、健康調査、補償・認定制度の問題、司法解決、全体像の把握、そして根強い差別・偏見。理工学系の学者が関われば早期解決の可能性もあった。
公害問題を考える一助になればとこの本を選んだが、予想とはまったく別の感慨があり、いい読書体験ができてよかったと思う。また、当初の通り同様の問題に関して参考にしたい。思うに、私はもはや水俣病と無縁ではない。






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