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評者◆三牧聖子
不戦条約は理想主義の無意味な条約か――戦後の原点としての歴史的意義
不戦条約――戦後日本の原点
牧野雅彦
No.3460 ・ 2020年08月15日




■一九二八年、日本を含む主要大国はパリ不戦条約に署名し、紛争解決手段としての戦争の放棄を誓約した。第二次世界大戦が勃発した後、無意味な条約と批判され続けてきた条約である。
 しかし近年、この条約の再評価が進んでいる。条約締結一〇〇周年に上梓されたオーナ・ハサウェイとスコット・シャピーロの共著『逆転の大戦争史』(文藝春秋、二〇一八年)は次のように言う。確かに不戦条約は大戦の勃発を
防げなかった。しかし、戦争や征服が合法とされる「旧世界秩序」から、それらが違法とされた「新世界秩序」への「逆転」をもたらし、国際平和に長期的な影響を与えたのだと。
 しかし、不戦条約を、「新世界秩序」の理想を体現したものとみることは妥当だろうか。牧野雅彦『不戦条約』は、不戦条約が調印されるまでの複雑な外交過程、そこに飛び交った各国の思惑を綿密に描き出していく。その描写から浮かび上がる不戦条約の実像は、第一次世界大戦後の世界に生まれた戦争の違法化の流れを汲みつつも、諸国家の国益や戦略の「妥協」の産物としてのそれである。
 第一次世界大戦後に進められた「戦争違法化」には、相対立する二つの潮流があった。一つは、諸国家の相互援助を通じて集団的な安全保障を実現しようとする潮流であり、不正な戦争を行った国家に対す...







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