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評者◆しま
漫画史研究に最高のお供
日本の漫画本300年――「鳥羽絵」本からコミック本まで
清水勲・猪俣紀子
No.3413 ・ 2019年08月31日
■尾形光琳の戯画や、渡辺崋山の『一掃百態』など、一つ一つを取り上げても話題が広がるような「戯画本」「漫画本」をある程度ドライに年代順に紹介している、というのが本書の特徴だ。
ビゴーの『おはよ』、「ポンチ本」など、あぁ、あの本にあった、あの美術館で見た、いろいろ思いだすことができる。戦前の『のらくろ』もリストアップされていて、以前復刊本を読んだことも思い出した。 昭和になれば、リアルタイムに読んでいた漫画を、やはり時系列でみることができるのが楽しい。そうか、『AKIRA』と『北斗の拳』は同じ1984年に第1巻が刊行されたのか、その翌年に『Dragon Ball』と『美味しんぼ』と『アドルフに告ぐ』と『課長島耕作』の第1巻が出てるのか、と、まぁこうなると読む手が止まらない。 と、キーワードを見つけては、思いにふけることができるのだが、一方で、それ以上作品世界に入り込むことができないのも、カタログ本の限界でもある。昭和の漫画ならともかく、幕末・明治の作品については、手にし、目にすることが難しいので、もう少し作品を詳しく紹介してほしかったりする。また、本書では、時系列紹介が主であるので、なぜ日本の漫画が独特な発展を遂げていったのかについての深い考察があるわけでもない。 だが、このような批判は、本書にとっては全く意味のないものである。なぜならば、本書はそこを目指しているものではないからだ。むしろタイトル通り、「日本の漫画本300年」を、コンパクトな本1冊にまとめ上げたことこそが、評価されるべきことだと思う。 そう考えると、このカタログをまとめる作業の膨大さを考えると気が遠くなる。どれだけの資料(漫画本)を読み、取捨選択したのだろうか? しかも、漫画愛好家にはうるさい人が多いので、あの作品が掲載されていない、あの作者がいない、と批判が出ることも必至だ。それを跳ね返すだけの根拠のある、練りに練った取捨選択であっただろう。そう考えると、あっさりとしたあらすじ、解説の裏にある手間暇には頭が下がる。しかも、参考文献リストがかなり充実しており、それだけでも価値があるのだ。 いろいろ書いてしまったが、本書は、「日本の漫画史」を学ぶうえで必携の書と言えるだろう。100年後に『日本の漫画本400年』が書かれる際には筆頭にあがることは間違いない。 ちなみに、淡々と作品紹介をしている中で、唯一、編者が「私」と自分を出しているのが、イノシシの泳ぐ理由、というのがなんとも味わい深かった。これについては是非読んで発見していただきたい。 |
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