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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ⑬――構造としての〝アベシンゾー〟⑤
No.3375 ・ 2018年11月17日




■安倍官邸による“バカトノ的支配”を終わらせるために、私たちはいったい何をなすべきか。彼等がいまの日本に巣食った悪性腫瘍であるのは明らかでも、それを除去する具体的方法が何も確立されていないのは極めて由々しきことだ。
 普通考えられる手段は、選挙で敗北させる、党内闘争で引きずり降ろす、スキャンダルで辞職させる、何らかの法的手段に訴える……などだが、これまでどれも成功しなかった。その最大の理由は、過去五回の国政選挙で安倍自民党はどれも圧勝しているからである。自民党所属議員には選挙で勝てる党首こそが一番に求められるから、その点、安倍晋三は申し分ない総理総裁であり、辞任して欲しい理由など何もない。
 一方、野党議員であれマス・メディアであれ一般市民であれ、安倍政権の退陣を願うサイドにとっては、大衆動員によるデモンストレーションや街頭での抗議行動、不祥事の暴露などが手段として採られてきたものの、森友・加計疑惑であれだけ叩かれながらもまだ総理の椅子に座り続けている現実を見るにつけ、こうした正攻法では歯が立たないことを思い知らされる。取り組むべき戦略がどこかずれているのだ。
 今年のノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶教授らの研究内容は、悪性腫瘍の発生する機序を、生体の正常な免疫機能をがん細胞が不全化していることの内に見出した。つまり、がん細胞は免疫細胞にブレーキをかけているのである。従って、がん細胞そのものを直接攻撃するやり方ではなく、このブレーキを取り除くやり方のほうへ採るべき戦略を移行させたところに、この研究の大きな意味と成果があった。
 安倍官邸というわが国の悪性腫瘍を根絶するには、正常であるべき民主主義のシステムに彼らが被せている“バカトノ的支配”のブレーキが何なのか、それを具体的に突き止め、その息の根をひとつずつ止めていく気の長い作戦が必要になる。皆で取り組めば、実現可能なプロジェクトだと思う。
(つづく)







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