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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ⑪――構造としての〝アベシンゾー〟③
No.3367 ・ 2018年09月15日




■9月の自民党総裁選で安倍晋三が三選される公算が大きいと言われる。そうなれば“アベシンゾー”と私たちの闘いも、また新たなステージへと突入する。私たちは、これまで長い時間と多大な労力をかけて、いったいこの政権の何と最も対峙してきたのか。結論からいえば、安倍晋三という政治家個人と対決してきたのである。このことを、再度ここではっきりさせなければならない。
 思えば原発再稼働に始まり、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪、働き方改革、カジノ法、そして憲法改正発議など、争点は多岐にわたるようでも、これらすべてに共通しているのは、どれもが安倍政権になってから一気に顕在化した政治悪であることだ。だが、ここ一、二年の間に、闘うべき相手に対する私たちの焦点が、巧みにボカされつつあるという危機感が私にはある。
 その証拠に、このところ政権批判の軸足は、モリ・カケ問題に代表される総理関連のスキャンダルの追及という点に置かれてきたことが挙げられる。総理大臣の座にある者を、私たちのような一般主権者が直接に弾劾しうる手段はない。だからそのスキャンダルを暴くことで、彼の法的ないし道義的責任を糾弾するかたちに持っていき、辞任に追い込む作戦がもっとも近道で有効に思えたのである。
 だが、安倍という男は多少のスキャンダルでは倒れないことが、今回、はっきりした。だから、ここで改めて私たちの敵が安倍晋三本人であることを、再確認しておくことが重要なのである。
 彼は2006年に出版した自分の著作『美しい国へ』の中で、「わたしは、つねに「闘う政治家」でありたい」(「はじめに」)と語っている。「闘う政治家」とは、彼によれば国家や国民のためなら「批判を恐れず行動する政治家」なのだそうだ。彼がそうした政治家でないことは誰の目にも明らかだが、問題はそこではない。安倍が闘う相手を間違え、私たち国民に対して“闘い”を挑んでいることが一番の問題なのである。
(つづく)







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