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評者◆ベイベー関根
飛ばせロケット! 目ざせ宇宙!
我らコンタクティ
森田るい
No.3342 ・ 2018年03月10日
■んー、2017年刊行分はこれで終わりかな? 長かった(笑)。ラストを飾るのは、森田るい『我らコンタクティ』だ! 『プロジェクトX』みたいな、『下町ロケット』みたいな(え、「下町ファンタジー」なんて用語があんの?)、そしてもちろんどちらとも違う昂揚と爽やかさを残してくれる傑作だ。
クソ上司に囲まれて退屈な日々を送るOL、椎ノ木カナエ。ある晩、飲み会を抜け出したところで、小学生時代にはハナを垂らしていた同級生・中平かずきと遭遇、燃焼実験を見ていけと誘われる。何の!? そのロケットエンジンの予想をはるかに上回るぶっ放しぶりを見せられたカナエは、あっけにとられる。かずきは、兄の工場で働くかたわら、コツコツひとりでロケット開発に精を出していたのだ。こいつぁ金になるんじゃないかと素早く考えをめぐらせたカナエは、あの手この手を繰り出すが、どうにも不発ぎみ。かずきにロケットを飛ばす目的を尋ねてみると、小学3年生のときに学校で見た映画で、主人公がサバンナで歌い踊るワンシーンがすごくよかったので(なんていう映画だろう?)、その翌日にカナエちゃんとふたりでたまたま見かけたUFOにそれを見せてやりたいのだという。……………何ソレ!? またしてもあっけにとられて、大笑いするカナエ。そして彼女もこのプロジェクトに深入りしていくことになるのだった。 というのが第1話。その後も、火を見ると心が落ち着くバーのマダムや、弟へのアンビヴァレントな気持ちを隠しきれないお兄ちゃんが話にからんできたり、行くてを阻む難題をひとつひとつクリアしていったりするのだが、最後に国家という強敵が宇宙開発機構という名を借りて現れる。うおお~~、盛り上がる~! あれ、そうでもない? 主人公ふたりの極端なまでに単純化された造形と、逆に、めっちゃ映画観てる感じの写実っぽさとが、うまいことブレンドされた絵が、まず魅力的。熱血と、実現までもうちょいで手が届きそうな程度のファンタジーと、本格的なロマンスにまで至らない男女間のバディ感、類型から少し外した人物設定と、泣きへの引力に全身で抗う語り口、といった物語作りの巧みさ。それらすべてを含みつつ、どれとも等距離に身を離そうとするこの奥ゆかしさ。いいね~! 1巻完結のところ、もうちょっとたくさん読みたくもあるんだが、ダラダラするよりビシッと締める方を選ぶストイックぶりもまたシブい。 著者の森田るいは、2013年にモーニング四季賞を受賞した新人作家。2015年には読み切りも3編ほど発表しているとのことで、こちらも近々まとまることを期待しよう! ところで、福満しげゆき『終わった漫画家』とか、野村宗弘『鉄工所にも花が咲く』とか、ちょっと前にほんわかしたマンガを描いてた人がだんだんやさぐれてきてて、ちょっと面白いなー。面白がってる場合じゃないかもしれんが(笑) |
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